アメリカに鯉を!鯉に恋する稲門夫婦
2012年5月5日、稲門OBで脱サラ後、やや‘’変わった‘’錦鯉の事業を営んでいる川除さん(1971年卒)を訪問しました。場所はChicago郊外のMarengoにて“KOI POND SUPPLY OF JAPAN, INC.”と言う社名です(自宅兼事業所)
Marengoは、Chicago中心部から北西に車で1時間半ほど行ったところ、Rockfordのすぐ東に位置しており、中規模の農場や牧場と市街地が共存する都市です。
川除さんは、1999年に駐在員としてChicagoに赴任され、2003年に独立、現在は日本の国魚である錦鯉を通じてアメリカに日本の文化を広げるビジネスを営まれています。

−インタビュー−
1.鯉ビジネスを始めた動機
帰国命令が下ったときに、退社を決意、その後鯉愛好家の知り合いの奨めでシカゴに残り、鯉関係の仕事を始めることになりました。元の勤め先が鯉池で使うポンプを扱っていたことも遠因です。
2.簡単な事業の説明、流れ
鯉ならびに、鯉池に関連するもろもろのことをやっています。多種にわたる商品の輸入、卸、小売から、池の新設改良、メンテナンスまで。最初は鯉池の設置を主に考えていましたが、競合関係、日本人としての利点を生かすべく、今では、特徴のある高性能の日本製品の販売(ポンプ、鯉網等)と、日本から輸入した鯉の販売に力を入れています。
3.苦労話、経験談等
グリーンカードを持っていない状態でしたので、独立時には、ビザの取得に苦労しました。E2ビザ(いわゆる投資家ビザ)を取得しているのですが、“自宅とは別に事務所を借りなければならない”、“従業員を二名以上雇わなければいけない”等の条件を事業開始当初にクリアするのは大変でした。
錦鯉自体は、Walmartがアメリカ産の安価なものを扱っていたりするので、当社では日本からの高品質魚の輸入にこだわっています。丁寧に育ててれば品評会に出るような魚に育つと自信を持っています。

また、日本のある魚具メーカーが製造している鯉をすくうための網(柄の長さが2m以上あるような大きなもの)が、アメリカ人愛好家の間で大変人気があり、その輸入販売が今では事業の一つの柱になっています。日本の“モノづくり”の素晴らしさを再認識しています。
会社のロゴマークは、日本人デザイナーの方にお願いして作っていただいたもので、どこか日本国旗の日の丸を彷彿させるところもあり、大変気に入っています。これからも“鯉ビジネスを通じて日本の文化をアメリカに広める”という気概を持って、日々の仕事に励んでいきます。
(会社のURL:http://www.koipondjapan.com/index.html)

お子様達はそれぞれ家庭を持ち独立されており、Chicagoでは奥様とペット(犬・猫)と暮らしているとのことです。事業所見学の後は、ご自宅で奥様の手料理をいただきながら、赴任時代の思い出話や、稲門会の今後の発展についての熱い会話も交わされました。
“サラリーマンとしての海外赴任を経て現地で独立”という川除さんの活躍ぶりを拝見し、稲門会の一員として誇らしく思えるOB訪問となりました。

(蒲澤信男・渡部良一:訪問者記)